
テーマは「古代・中世の山田の歴史と文化 −鉄と馬と昆布を掌握したエミシ−」です。

前半の講演は岩手県立博物館の小山内透氏による「岩手県沿岸部における古代・中世の鉄生産 −製鉄技術の発達と伝播−」です。

昔の鉄を作っていた炉や痕跡のことを製鉄遺構と呼びます。
岩手県で見つかっている製鉄遺構は沿岸、特に山田と宮古に集中しているのだそうです。

岩手県の地質、昔の鉄の作り方、発見された製鉄遺跡の分布、製鉄が伝わったとされるルートの説などお話ししてくださいました。
後半は岩手大学平泉文化研究センターの伊藤博幸氏による「古代閉伊群の成立と須加君氏-昆布と馬 −鉄と馬と昆布を掌握したエミシ−」です。

岩手県沿岸のこの辺りの事が文字情報として記録され始めたのは『続日本紀』の霊亀元年(715年)とされています。
蝦夷からの2件の要請についてで、昆布を納めていたらしいこともここに出てきます。

2つの要請はどちらも「群家を建てたい」というものでしたが、その背景には片方は没落が、片方は隆盛が伺えます。
『続日本紀』の記録と、山田・宮古から見つかった古墳から当時の閉伊一帯の様子を推察していきます。
講演を終えて質問タイムです。

質問者はけっこういたのですが、時間の都合により3人までとなりました。

前九年の役との関連や世界史での製鉄技術の広がり方、閉伊ではないもう片方の群家はどこに建てられたのか?など質問もそれに対する答えも興味深いものがありました。
お話しくださいました先生方、ありがとうございました。
(和)